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森 再生 庭づくり|森が戻ったあとに、何をするか

  • 13 時間前
  • 読了時間: 4分

北海道のある森で、計画に関わったことがありました。

礼文塚川の近くの場所です。

これは完成した庭の話ではなく、

その場所で何を見て、何を考えていたのかを書いてみようと思います。



60年かけて戻ってきた森


60年かけて再生した森
60年かけて再生した森

その土地は、60年ほど前に一度更地として開拓された場所でした。けれどその後、長い時間をかけて木々が自然に育ち、再び森になっていました。

樺の木、イタヤカエデ、ハルニレ、エゾカラマツ、エンジュ。そして一本の大きなミズナラ。

足元には熊笹が広がり、全体としてはすでに森の気配が戻っている。ただ、その中にひとつだけ、違和感のある場所がありました。



森の中にぽっかり空いた場所

森の中に、ぽっかりと空いた場所がある。そこだけ、木の根がほとんど張っていませんでした。

土の色は青っぽく、排水が悪く、酸素が少ない状態。

クズの蔓が絡み、倒れた木もある。

ただの余白ではなく、その土地の問題が表面に出ている場所でした。



土の中で起きていたこと

この土地の土はシルトに近く、水を含むとどろどろになり、乾くと固く締まる。

さらに掘ると、300mmから1000mmほどの石が次々に出てくる。

表面は静かな森でも、土の中では水と空気の流れが滞っている。

この場所は、見た目よりもずっと難しい条件を抱えていました。




1週間、森に滞在して見たもの

森の中でテントを張り滞在して環境を観察する様子
森の中に1週間滞在して、環境を観察する

この場所を理解するために、現地にテントを張り、1週間ほど森の中で過ごしました。

朝の光、昼の乾き方、夕方の陰り方。風の抜け方、湿り気の残り方。

図面では見えないものを、時間をかけて体で確かめていきました。



排水と空気の流れをつくる


ドライストーンウォールのベンチと砕石層による排水構造
ドライストーンウォールのベンチには水と空気を土壌に呼び込む機能を持たせた

その空いた場所に対して、まず必要だと感じたのは、植物ではなく、水と空気の通り道でした。

問題は地表ではなく、地中にありました。


具体的には、砕石と石積みのベンチによって、水と空気の流れをつくることを考えました。

ベンチはドライストーンウォールで積み、基礎部分には約1mの砕石層を設け、背面にも1m以上の石積みと砕石の層を連続させています。


地表のための構造ではなく、地中へとつながる構造です。

雨水は石の隙間を通りながらゆっくりと浸透し、同時に空気も引き込まれていく。

滞っていた水と空気の流れを、地中の深いところまで通していくことを意図しています。

このベンチは、ただ座るためのものではありません。地面に触れている石の隙間が、水を抜き、空気を通し、土の中に呼吸をつくる。

芝生や植栽はその上に成り立つものですが、その前にまず必要なのは、土の中の状態を整えることでした。



さらに考えていたこと


固くしまった土と根が入り空気が通る土壌の比較
固く締まった土に根を張り時間をかけてて土壌を柔らかくする

排水と空気の流れをつくることと並行して、この場所に対してもう一歩踏み込むなら、やりたいことがいくつかありました。

築山については、最初から完成した植栽をつくるのではなく、まずは稲科のようなパイオニアプランツを入れ、土の状態を少しずつ変えていく。固く締まりやすい土をほぐしながら、時間とともに植生も移り変わっていくような流れをつくりたいと考えていました。



さらに、この土地を育んできた礼文塚川の流域を歩き、そこに生えている樹木の種や実生苗を拾い、この場所へ少しずつ移していくことも考えていました。

遠くから植物を持ち込むのではなく、近い環境の中から、その土地にすでに適応しているものを選び取る。観察から始まる、無理のない植栽です。

こうした方法は、すぐに完成するものではありません。けれど時間をかけて、その場所の森をより深くしていく可能性があると感じていました。



礼文塚川の近くで考えていたこと


礼文塚川の流れと周囲の自然林の風景
礼文塚川の様子

庭や植栽の計画は、植物を並べることではなく、その土地の中に水と空気の流れを通すことなのかもしれません。そして、その場所にすでにある時間に、どう関わるかを考えること。

その土地に合う植物を探す前に、まずその土地がどう呼吸しているのかを見たい。

礼文塚川の近くのこの場所で、そう感じました。




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