ドライストーンウォールと日本の城石垣の違いとは? ― 空積み石積みの構造と排水思想を比較する
- 2 日前
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ドライストーンウォールと日本の城石垣。
どちらもモルタルを使わない「空積み石積み」ですが、その構造思想と目的は大きく異なります。
本記事では、英国の伝統技術であるドライストーンウォールと、日本の城石垣を排水構造・可動性・形態美の観点から比較し、現代の都市型ガーデンに応用できる視点を解説します。
【ドライストーンウォールとは何か】

(英国のドライストーンウォール全景・近景)
Dry Stone Walling Associationによって技術体系化されているドライストーンウォールは、モルタルを使わず石同士を噛み合わせて構築する石積み技術です。
特徴は:
透水性が高い
石同士がかみ合い自立する
解体・再構築が可能
壁でありながら、内部に空隙を持つ「呼吸する構造体」と言えます。
【日本の城石垣とは】

名古屋城や
姫路城に代表される日本の城石垣も、基本は空積み構造です。
しかしその目的は:
防御性
威圧性
土留め機能
特に「武者返し」と呼ばれる反りのある形状は、防御のために生まれた構造美です。
【排水構造の違い】

(城石垣の断面と栗石層の写真)
ドライストーンウォール
壁全体が透水層
背面の水圧をためない
日本の城石垣
背面に栗石層を設ける
水抜き機能を内部に持つ
共通点は「水を逃がす設計思想」。
違いは、ドライストーンは“全体で排水”、城石垣は“内部で排水”する点です。
【構造思想の違い】

「ドライストーン」は農地境界や牧草地の区画に使われてきました。
自然地形に沿い、環境と共存する構造です。
一方、城石垣は軍事構造物。
高さ・反り・稜線の強調など、力学的緊張感が重視されました。

つまり、
ドライストーン=風景の石
城石垣=権威の石
という違いがあります。
【現代の庭づくりに活かせる視点】
都市型気候では、
ゲリラ豪雨
ヒートアイランド現象
地盤変動
が課題になります。
透水性を持つドライストーンの構造は、
レジリエントガーデンに応用できる可能性があります。
一方で、城石垣の構造美や稜線の緊張感は、
デザイン要素として再解釈できます。
まとめ
ドライストーンウォールと日本の城石垣は、
同じ空積み石積みでありながら、異なる思想を持つ構造体です。
しかし両者に共通するのは、
重力を利用する
石の噛み合わせで自立する
水を読む技術
という自然法則に基づいた設計思想。
現代の庭づくりにおいては、
この二つの石積み文化を再編集することが重要です。






