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『ドライストーンウォーリング』って何だろう?

  • 執筆者の写真: Yudai Ono
    Yudai Ono
  • 2024年1月6日
  • 読了時間: 5分

更新日:10月31日


モルタルやセメントを使わずに、石をひとつずつ積み上げて作る「ドライストーンウォール」。

その素朴で美しい壁は、英国をはじめとするヨーロッパ各地で古くから親しまれてきた伝統的な建築技法です。

羊飼いや農夫たちが自らの手で農地を囲い、風景の一部として残した石積みは、いまや文化的遺産として修復・保存される存在になっています。


この記事では、英国式ドライストーンウォーリングの基本構造と7つの手順を、初めての方にもわかりやすく紹介します。

石積みのある風景🇬🇧
石積みのある風景🇬🇧

ドライストーンウォーリング(dry stone walling)


🪨ドライストーンウォールとは|モルタルを使わない伝統的な石積みの技法


ドライストーンウォール(Dry Stone Wall)とは、モルタルやセメントなどの接着材を一切使わず、石を重力と摩擦力だけで積み上げて作られた壁のことを指します。

この技法は古くから続く伝統的な建築・造園技術で、ヨーロッパでは羊飼いや農夫たちが農地の境界や防護壁として築いてきた歴史を持ちます。

名もなき人々が積み上げたこれらの石垣は、いまでは文化的景観としての価値が見直され、歴史的遺産として修復・保存が進められています。


🇬🇧ドライストーンウォーリングを作る基本的な手順:(英国式石積み)


1. 適切な石の選定:

まず最も重要なのは、均一で安定した形状の石を選ぶことです。

ドライストーンウォールの強度は、石の重なり方と密着度で決まります。

• 基礎部分:重く平らな石を使用

• 上部:軽く扱いやすい石を使用


これは、丈夫で長持ちするドライストーンウォールをつくるための第一歩です。


ドライストーンウォーリング 石を大きさ別に仕分けます。
ドライストーンウォーリング 石を大きさ別に仕分けます。

2. 基礎の設置: ファンデーション(Foundation)


丈夫な壁をつくるためには、しっかりとした基礎づくりが欠かせません。

地面に砂利や小石を敷き詰め、表面を平らに整えて安定させます。

これにより、沈み込みや傾きを防ぎ、壁全体の強度を高めます。

➡️ ドライストーンウォーリング ファンデーション


丈夫なdry stone walling(石垣)をつくるためにまずしっかりとした基礎を作ります。これには砂利や小石を敷き詰め平らな表面をつくります。

ドライストーンウォーリング ファンデーション
ドライストーンウォーリング ファンデーション

3. 最初の石の配置: (Laying the Base Stones)


基礎の上に、最初の石を水平に配置します。

石がガタつかないように、隙間には同じ石質の小石を詰めて固定します。

※丸い川砂利や砕石は不安定になりやすいため使用を避けましょう。



4. バランスを取りながら積み上げる: (Building Up the Wall)


石を一段ずつ積み上げていきます。

上下の継ぎ目が一直線にならないようにしながら、石のバランスを見て配置します。

隙間には**ハーティング(Hearting)**と呼ばれる小石を詰め込み、内部をしっかりと固定します。

➡️ ドライストーンウォーリング バランス良く積む


ドライストーンウォーリング バランス良く積み上げていきます
ドライストーンウォーリング バランス良く積み上げていきます

5. 隙間の埋め込み: ハーテング、スルーストーン((Hearting & Through Stones)


積み上げた石の隙間には、小石(ハーティング)や細かな石を丁寧に詰めて安定性を高めます。

また、壁の奥行きを連結する**スルーストーン(Through Stone)**を適所に入れることで、壁全体を一体化させ、強度をさらに向上させます。

➡️ ドライストーンウォーリング ハーティング スルーストーン


ドライストーンウォーリング ストーンストーン
ドライストーンウォーリング ストーンストーン

6. 高さの制御: (Level & Height Control)


壁の高さを一定に保ち、水平を確認しながら慎重に積み上げていきます。

上部に向かうほど軽い石を使用し、隙間には小さな石を隙間なく詰めて仕上げます。

➡️ ドライストーンウォーリング 水平に積む


ドライストーンウォーリング 水平にそして小さな石ハーティングを隙間なく入れます。
ドライストーンウォーリング 水平にそして小さな石ハーティングを隙間なく入れます。

7. 完成後の確認: (Coping & Finishing)


完成後は全体の水平と安定性を確認します。

最上段には**コーピングストーン(Coping Stone)**を載せて仕上げることで、雨風による崩れを防ぎ、壁の耐久性と美しさを保ちます。


ドライストーンウォーリング 綺麗に積めたか確認します。
ドライストーンウォーリング 綺麗に積めたか確認します。

最後はコーピングをのせて行きます。

最後の仕上げはコーピングストーンをのせます。
最後の仕上げはコーピングストーンをのせます。

🧱安全にドライストーンウォーリングを積むために

「自分でも積んでみたい」と思われる方も多いでしょう。

しかし、写真だけでは重心や石の組み方を正しく理解するのは難しいものです。


一度、**イギリスで資格を持つプロのドライストーンウォーラー(石積み職人)**と一緒に体験してみることをおすすめします。

資格制度には階級があり、技術レベルが明確に定義されています(詳しくは「イギリスのドライストーンウォーリング資格制度」ブログにて紹介)。



🇬🇧技術力が高いドライストーンウォーリングの職人がいる会社です

ドライストーンウォーリングは誰でも挑戦できる技法ですが、経験の差が仕上がり・強度・安全性を大きく左右します。

イギリスの資格を取得していることはもちろん、実際にどれだけの壁を積んできたかが職人の実力を物語ります。


経験豊富な職人が所属する会社に依頼することで、景観に調和し、長く持つ石垣をつくることができます。

お近くに信頼できる施工者がいる場合は、ぜひ相談してみてください。



ドライストーンウォーリング試験会場
ドライストーンウォーリング試験会場

写真提供 swallowtail garden スワローテイルガーデン














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