ドライストーンウォーリングの作り方|庭師が解説する石積み7工程【石積み入門】
- 2024年1月6日
- 読了時間: 6分
更新日:4月25日
ドライストーンウォールの作り方を、庭師の視点から解説します。
モルタルを使わず石だけで積み上げるこの技術は、構造・水の流れ・時間による変化が一体となったものです。
この記事は、基本構造から実際の施工手順まで7つの工程で紹介します。
・ドライストーンウォールとは?|石積みの基本と特徴
・ドライストーンウォールの基本構造|崩れない仕組み
・ドライストーンウォールの作り方|7つの工程
・ドライストーンウォールを美しく仕上げるために
・ドライストーンウォールを庭として成立させるために

ドライストーンウォールとは?|石積みの基本と特徴
🪨ドライストーンウォールとは|モルタルを使わない伝統的な石積みの技法
ドライストーンウォール(Dry Stone Wall)とは、モルタルやセメントなどの接着材を一切使わず、石を重力と摩擦力だけで積み上げて作られた壁のことを指します。
この技法は古くから続く伝統的な建築・造園技術で、ヨーロッパでは羊飼いや農夫たちが農地の境界や防護壁として築いてきた歴史を持ちます。
名もなき人々が積み上げたこれらの石垣は、いまでは文化的景観としての価値が見直され、歴史的遺産として修復・保存が進められています。
ドライストーンウォールの基本構造|崩れない仕組み
ドライストーンウォールは、石を積み上げただけの構造に見えますが、
実際には一つひとつの工程が連動しながら全体の安定性をつくっています。
基礎のつくり方、石の選び方、積み方のリズム、
それぞれが噛み合うことで、はじめて長く維持する石積みとなります。
ここからは、実際の施工手順を7つの工程に分けて解説します。
ドライストーンウォールの作り方|7つの工程
ドライストーンウォールの作り方① 石の選定
まず最も重要なのは、均一で安定した形状の石を選ぶことです。
ドライストーンウォールの強度は、石の重なり方と密着度で決まります。
• 基礎部分:重く平らな石を使用
• 上部:軽く扱いやすい石を使用
これは、丈夫で長持ちするドライストーンウォールをつくるための第一歩です。

ドライストーンの作り方② ファンデーション基礎(Foundation)
丈夫な壁をつくるためには、しっかりとした基礎づくりが欠かせません。
地面に砂利や小石を敷き詰め、表面を平らに整えて安定させます。
これにより、沈み込みや傾きを防ぎ、壁全体の強度を高めます。
➡️ ドライストーンウォーリング ファンデーション
丈夫なdry stone walling(石垣)をつくるためにまずしっかりとした基礎を作ります。これには砂利や小石を敷き詰め平らな表面をつくります。

ドライストーンの作り方③ ベースストーンの配置 (Laying the Base Stones)
基礎の上に、最初の石を水平に配置します。
石がガタつかないように、隙間には同じ石質の小石を詰めて固定します。
※丸い川砂利や砕石は不安定になりやすいため使用を避けましょう。
ドライストーンの作り方④ 石を積み上げる: (Building Up the Wall)
石を一段ずつ積み上げていきます。
上下の継ぎ目が一直線にならないようにしながら、石のバランスを見て配置します。
隙間には**ハーティング(Hearting)**と呼ばれる小石を詰め込み、内部をしっかりと固定します。
➡️ ドライストーンウォーリング バランス良く積む

ドライストーンの作り方⑤ ハーテングとスルーストーン(Hearting & Through Stones)
積み上げた石の隙間には、小石(ハーティング)や細かな石を丁寧に詰めて安定性を高めます。
また、壁の奥行きを連結する**スルーストーン(Through Stone)**を適所に入れることで、壁全体を一体化させ、強度をさらに向上させます。
➡️ ドライストーンウォーリング ハーティング スルーストーン

ドライストーンの作り方⑥ 高さと水平の調整(Level & Height Control)
壁の高さを一定に保ち、水平を確認しながら慎重に積み上げていきます。
上部に向かうほど軽い石を使用し、隙間には小さな石を隙間なく詰めて仕上げます。
➡️ ドライストーンウォーリング 水平に積む

ドライストーンの作り方⑦ コーピングストーンで仕上げ(Coping & Finishing)
完成後は全体の水平と安定性を確認します。
最上段には**コーピングストーン(Coping Stone)**を載せて仕上げることで、雨風による崩れを防ぎ、壁の耐久性と美しさを保ちます。

最後はコーピングをのせて行きます。

ドライストーンウォールは、自然素材だけで構造を成立させる伝統技術です。
ドライストーンウォールを美しく仕上げるために
「自分でも積んでみたい」と思われる方も多いでしょう。
しかし、写真だけでは重心や石の組み方を正しく理解するのは難しいものです。
一度、**イギリスで資格を持つプロのドライストーンウォーラー(石積み職人)**と一緒に体験してみることをおすすめします。
資格制度には階級があり、技術レベルが明確に定義されています。
イギリスのドライストーンウォーリング資格制度については
こちらの記事で詳しく紹介しています。
ドライストーンウォールを庭として成立させるために
ドライストーンウォールは、石だけでつくられているようでいて、
実際には土や水、植物とともに成り立っています。
雨が降り、水が抜け、土が落ち着き、
やがてそこに植物が入り込んでいく。
そうした時間の積み重ねの中で、石積みは風景として馴染んでいきます。
石の据え方や積み方だけでなく、
その場所にどのような環境が流れているのかを読み取ることが、
庭として成立させるためには欠かせません。
ドライストーンウォールは、完成した瞬間ではなく、
時間とともに完成していく構造でもあります。
まとめ
ドライストーンウォーリングの作り方は、
基礎づくりから積み上げ、仕上げまでの各工程を正しく理解することが重要です。
石の選び方や積み方、重心の取り方や水の処理によって、
仕上がりの安定性や耐久性は大きく変わります。
シンプルな構造に見えて、実際には細かな判断の積み重ねによって成り立つ技術です。
ドライストーンウォールを取り入れた庭づくりや施工についてもご相談を承っています、
具体的なイメージが決まっていなくても大丈夫です。
その場所の環境や土の状態を見ながら、一緒に庭のかたちを考えていきます。
ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
庭づくりの流れについては、
こちらで紹介しています。
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写真提供 Yudai Ono

