ドライストーンウォーリングとは?作り方と構造を庭師が解説【石積入門】
- 2024年1月6日
- 読了時間: 5分
更新日:7 時間前
ドライストーンウォーリング(Dry Stone Walling)とは、
モルタルやセメントを使わず石だけで積み上げる伝統的な石積み技術です。
イギリスやヨーロッパでは何百年も前から続く技術で、
農地の境界や牧草地の囲いとして広く使われてきました。
この記事では
・ドライストーンウォールとは何か
・基本構造
・作り方(7つの工程)
を、実際に施工写真とともに解説します。

ドライストーンウォーリング(dry stone walling)
🪨ドライストーンウォールとは|モルタルを使わない伝統的な石積みの技法
ドライストーンウォール(Dry Stone Wall)とは、モルタルやセメントなどの接着材を一切使わず、石を重力と摩擦力だけで積み上げて作られた壁のことを指します。
この技法は古くから続く伝統的な建築・造園技術で、ヨーロッパでは羊飼いや農夫たちが農地の境界や防護壁として築いてきた歴史を持ちます。
名もなき人々が積み上げたこれらの石垣は、いまでは文化的景観としての価値が見直され、歴史的遺産として修復・保存が進められています。
🇬🇧ドライストーンウォーリングを作る基本的な手順:(英国式石積み)
ドライストーンウォールの作り方① 石の選定
まず最も重要なのは、均一で安定した形状の石を選ぶことです。
ドライストーンウォールの強度は、石の重なり方と密着度で決まります。
• 基礎部分:重く平らな石を使用
• 上部:軽く扱いやすい石を使用
これは、丈夫で長持ちするドライストーンウォールをつくるための第一歩です。

ドライストーンの作り方② ファンデーション基礎(Foundation)
丈夫な壁をつくるためには、しっかりとした基礎づくりが欠かせません。
地面に砂利や小石を敷き詰め、表面を平らに整えて安定させます。
これにより、沈み込みや傾きを防ぎ、壁全体の強度を高めます。
➡️ ドライストーンウォーリング ファンデーション
丈夫なdry stone walling(石垣)をつくるためにまずしっかりとした基礎を作ります。これには砂利や小石を敷き詰め平らな表面をつくります。

ドライストーンの作り方③ ベースストーンの配置 (Laying the Base Stones)
基礎の上に、最初の石を水平に配置します。
石がガタつかないように、隙間には同じ石質の小石を詰めて固定します。
※丸い川砂利や砕石は不安定になりやすいため使用を避けましょう。
ドライストーンの作り方④ 石を積み上げる: (Building Up the Wall)
石を一段ずつ積み上げていきます。
上下の継ぎ目が一直線にならないようにしながら、石のバランスを見て配置します。
隙間には**ハーティング(Hearting)**と呼ばれる小石を詰め込み、内部をしっかりと固定します。
➡️ ドライストーンウォーリング バランス良く積む

ドライストーンの作り方⑤ ハーテングとスルーストーン(Hearting & Through Stones)
積み上げた石の隙間には、小石(ハーティング)や細かな石を丁寧に詰めて安定性を高めます。
また、壁の奥行きを連結する**スルーストーン(Through Stone)**を適所に入れることで、壁全体を一体化させ、強度をさらに向上させます。
➡️ ドライストーンウォーリング ハーティング スルーストーン

ドライストーンの作り方⑥ 高さと水平の調整(Level & Height Control)
壁の高さを一定に保ち、水平を確認しながら慎重に積み上げていきます。
上部に向かうほど軽い石を使用し、隙間には小さな石を隙間なく詰めて仕上げます。
➡️ ドライストーンウォーリング 水平に積む

ドライストーンの作り方⑦ コーピングストーンで仕上げ(Coping & Finishing)
完成後は全体の水平と安定性を確認します。
最上段には**コーピングストーン(Coping Stone)**を載せて仕上げることで、雨風による崩れを防ぎ、壁の耐久性と美しさを保ちます。

最後はコーピングをのせて行きます。

🧱安全にドライストーンウォーリングを積むために
「自分でも積んでみたい」と思われる方も多いでしょう。
しかし、写真だけでは重心や石の組み方を正しく理解するのは難しいものです。
一度、**イギリスで資格を持つプロのドライストーンウォーラー(石積み職人)**と一緒に体験してみることをおすすめします。
資格制度には階級があり、技術レベルが明確に定義されています。
イギリスのドライストーンウォーリング資格制度については
こちらの記事で詳しく紹介しています。
リンク「英国ドライストーンウォーリング資格制度」
まとめ
ドライストーンウォーリングは
モルタルを使わず石だけで積み上げる伝統的な石積み技術です。
基本構造は
1石の選定
2基礎(ファンデーション)
3ベースストーン
4石積み
5ハーティングとスルーストーン
6水平調整
7コーピングストーン
という工程で作られます。
自然素材だけで構造を成立させるこの技術は、
現代のガーデンデザインでも再び注目されています。
関連記事
「ドライストーンウォールと日本の城石垣の違いとは? ― 空積み石積みの構造と排水思想を比較する」
