第2回「東京パークガーデンアワード神代植物公園」①「植栽の様子」
- Yudai Ono
- 2024年2月29日
- 読了時間: 4分
更新日:2月1日

ジブリが大好きな人の原風景はたぶん「武蔵野のくさはら」にある
第一回に続き、今回も第二回東京パークガーデンアワードのコンテストガーデンのお手伝いへ行って来ました。前回の代々木と打って変わってより日本の在来植物を中心としたガーデンとなっています。なぜなら今回のテーマは「武蔵野のくさはら」。日本で日々暮らす私たちに寄り添う原風景のようなガーデンが1年を通して見られると思うと今からとても楽しみです。場所はまさに「となりのトトロ」の舞台になった武蔵野国多摩郡です。(近藤勇の生家もすぐ近く)
草原は、やがて森へ還る。
今回ご一緒した友人の「吉野ひろき」さんは京都で雑木を用いた、まるで里山のようなガーデンをつくられる方です。それゆえに、目に付く樹木の枝葉はもちろんの事、私たちの足のした「土壌」「土の中」の事をとても大事にしながらお庭づくりをしています。見た目の美しさはお庭も目に見えない内面から、そんな気持ちにさせてくれるお庭をつくる吉野さん、そんな彼のコンテストガーデンのテーマとコンセプトを下に書き出してみました。
「森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。」

土に帰るって気持ちの良いこと
化成肥料や農薬に頼らずに育った野菜や草花は枯れて腐っても悪臭を放つ事が少ないように思います。ちゃんと微生物が分解して土へ帰る準備が出来るからです。植物も生涯にわたって体に取り入れたもので、植物自身の終焉が美しいものになるのか、それとも周りを不快にさせるものになるか決まってしまいます。それゆえに隠された根を健全に育む土壌がとても大事なのです。
今回のコンテストガーデンで吉野さんが一番こだわったのは「土壌」「土の中」そのものでした。神代のコンテストガーデンは彼のお庭づくりの集大成とも言えるガーデンです。
森の地面って個性的
みなさんも山に行って道から少し外れると、地面が柔らかいなと思った経験がおありかと思います。元気な森は地面が道路のように均一では無く、場所によって柔らかかったり固かったりと複雑な感触があります。それは溜まった落ち葉だったり、折れた枝が堆積したり、埋もれた倒木があったり、転がって来た石が埋まっていたりと、森の「土壌」「土の中」が地表の個性となって表れているからです。今回もそんな森の地面のした「土壌」「土の中」を再現するために、枝を入れたり葉っぱを入れたりとそれぞれ箇所ごとに個性を持たせました。
庭づくりの楽しみはやっぱり植え込み
さあ、ここまで準備が整いました。庭をつくっていて一番楽しいのは、どんな感じに育つのかと想像しながらの植え込みです。植えてるみなさんも頬が緩んで終始にこにこと笑顔です。今回はコンテストガーデンという事もあって自生している山野草と園芸品種をバランスよく植えて行きます。やっぱり、植物を植えるのはとても楽しいですね。
里帰りした「アスタージンダイ」
このコンテストガーデンで面白い発見がありました。今回使われている植物「アスタージンダイ」の足跡が新たに解明されたのです。今まで謎だった「アスタージンダイ」の経歴。その出発点は神代植物公園にありました。1985年にリック・ダーク氏によって神代植物園からアメリカに渡った選抜種の「ダルマシオン」が「アスタージンダイ」として世界中の植物愛好家の手に渡ったのです。
今回里帰りという形でどの箇所のガーデンにも植えられています。世界中のナチュラスティックガーデンに広く使われている「アスタージンダイ」のルーツが神代植物公園にありまさにこのタイミングで神代植物公園へ植えられるなんてわくわくしてしまいますね。
今回、植えた宿根草たちは芽吹きはじめたまたの機会に紹介できればなと思います。
最後に落ち葉を散らします
最後の仕上げに落ち葉を散らしてひとまず完成です。どこまでも、森の中を再現しようとする吉野さん。そんな植栽が一年を通して新たな神代植物公園のシーンをつくっていくのかこれからが楽しみです。
第二回東京パークガーデンアワード
始まったばかりの「東京パークガーデンアワード」これから一年を通して色とりどりなガーデンシーンを見せてくれる事でしょう。ぜひ近くに来たさいには行かれてみてはいかがでしょうか?
「庭花Kyoto 」のガーデンデザイナー「吉野ひろき」さんのホームページです。https://niwahana-kyoto.com
「東京🗼パークガーデンアワード」のオフィシャルサイトです。https://www.tokyo-park.or.jp/special/kadan/index.html
「神代植物公園」今回のコンテストガーデン会場です。https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/
「深大寺」参道の食べ歩きが楽しいです。https://www.jindaiji.or.jp